過激純愛

320 名前: ドキュソ兄@94 ◆DADQN/H2Gc 投稿日: 02/10/03 11:58 ID:???
【ルール/10.02日記】

 親父が女性のお客さんを連れてきた。
 もう十数年もバツイチで過ごしてきたのだから、女の一人ぐらいはいるだろ
うと思っていた。いるとしたら、まあ三十代後半ぐらいの女性だろうと勝手に
思い込んでいたのだが・・・
「お兄ちゃん・・あの人がお父さんの彼女なのかなあ・・?」
妹が訝し気に、そのお客さんを見るのも当然だと思った。
「若いよな・・二十代の前半か半ばぐらいか」
「わたし、さっきごあいさつされちゃいました・・」
「俺もさっき親父に呼ばれてあいさつしてきたよ・・」
「これからも、ちょくちょく遊びに来るって言ってました」
 その女性は、とてもフレンドリーでいい人だと思った。もし親父と再婚する
つもりなら、別に反対はしないだろう。でも、結婚前に家へちょくちょく来ら
れるのは、正直いい気はしない。
「ちょっと邪魔くせぇな・・」
そう言った俺の目つきが険しかったのか、
「お父さんと喧嘩しないでくださいね・・」と、妹が心配そうに言った。
 俺が“邪魔くさい”と言ったのは、俺と妹の生活圏内に近付いて欲しくない
からだった。俺と妹の関係を知られる危険も増すし、危険を回避するために決
めていたルールもさらに厳しくなると思ったからだ。
「ちょっと早めに家を出る事になるかもしれないな、俺ら」
「うん・・出られればいいけど・・・置いて行かないでくださいね・・」
俺の腕をつかむ妹の手に、ギュッと力が入った。


二人が決めたルールは、しばしば細かい点が変更されてきた。しかし、基本
的な部分は、特に変りはない。
「一緒に家を出るルールは絶対に守るよ・・。一人にさせないよ」
そう言って、妹の頭を撫でてやった。
 妹には言っていないが、もし家を出られたとしても、今までの生活を崩そう
とは思っていない。家から離れたとしても、兄妹である事は永久に変らないの
だから、安易に恋人のような振舞いをする訳にはいかないと思っている。
「お兄ちゃんと暮らせたら幸せだろうなあ」などという、夢見る女の子の気持
ちも大切にしたいので、現実的な話はいまのところ控えているだけだ。
 もしこれから、あの女性が家に出入りするようになったら、兄の俺の舵取り
がとても重要になってくるだろう。危険を冒してでも妹を優先させてあげるべ
き場面と、ルールを優先させるべき場面・・その選択基準は、より一層厳しく
なると思っておいた方がいい。
「でも、あの人はきれいな人だから、お母さんでもいいなあ・・」
「お母さん、欲しいのか?」
「うーん・・もうすぐ大人だから、もうどっちでもいいです」
そう言いながら、妹は母親からもらったネックレスを無意識にいじっていた。
 親父がもう少し早く再婚してくれていたら、妹がこんな目に遭わなかったの
かもしれない。普通に楽しく生活出来ていたかもしれない。そして、俺も荒れ
た生活などとは無縁だったかもしれない。どちらかの親が欠けるだけで、当人
達以外の者がとんだ災難に遭うものなんだな・・と再認識した。
「俺等はさ、ずっと一緒にいような」
「はい・・ずっとお兄ちゃんといたいです」
そう言う妹の頭をさっきのように、もう一度撫でてあげた。


二時間ほどして、女性は帰っていった。
 そして、ほどなくして車で送っていった親父が戻ってきた。時間にして三十
分程度だったから、家まで送っていったのだとしたら、あの女性はかなり近い
距離に住んでいる人だと思っていいだろう。
 俺は親父にビールを持っていって、コップに注いでやった。
「あれ、親父の彼女か?」と、ストレートに質問をぶつけてみた。
「まあな」
親父は否定する事なく、あっさりと認めた。
「邪魔するつもりはないからさ、再婚する時はちゃんと言ってくれよな」
「ああ」
素っ気無い返事だったが、一応は約束してくれたようだ。
 そして、尋ねるのを一瞬ためらったのだが、続けて質問した。
「○○が、学校を卒業するまで待ってやってくれるか?」
「ああ、そのつもりだよ。いちいちうるせー奴だな、お前は」
「あー、悪ぃ。でもよ、母ちゃんがいる生活って緊張すんじゃんよ・・」
嫌味のつもりではなく、次の言葉を出すための布石で言った・・
「俺等、邪魔だったらちゃんと出てくから言えよな」
「ああ、○○が高校出たらな・・」
 こういう会話は時期尚早かとも思ったが、尋ねたい事は一応すべて聞けた。
何とか妹を幸せにしてやれそうな気もした。
(○○は、ちゃんと幸せにするからさ・・だから親父も・・)
「今度こそ、ちゃんとうまくやれよな」
何となく親父にエールを送って、俺はリビングを去った。


台風が過ぎ去ったせいか、ちょっと星がきれいに見える。ベランダで虫の声
を聞きながら、俺は色々と真面目な事を考えていた。
 もし親父を憎まずに応援してあげていたら、もっと違う道が開けていたのか
もしれない。そして、荒んだ考え方では、荒んだ道へしか行けないのかもしれ
ないと思った。俺は、ちょっと何かのヒントをつかめたような気がした。
「ちょっと寒くなってきましたね」
パジャマの上にカーディガンを羽織った妹が、紅茶を持ってきてくれた。
「うん。今度、冬服を買いに行こうな」
「あ、はい」
「そう言えば、制服も冬服になったんじゃないか?」
「あ、はい。そうです」
妹は返事をしながら、テーブルを俺の横に動かして、イスを置いてくれた。
「あ、マーブルケーキもあります」
「さんきゅ」
俺は妹の隣に座って、妹が差し出すマーブルケーキを口に入れた。
「親父、再婚するってさ」
「わあ、やっぱりあの人がお母さんになるんだあ・・」
もぐもぐとマーブルケーキを食べながら、妹が少し呑気に言った。
「ちゃんとお前が卒業したら・・・」と言いかけて、俺は紅茶をすすった。
「・・したら?」
「再婚するって。んで、俺等もこの家から解放してくれるってさ」
「わあ・・すごいです!うれしいなあ・・楽しみだなあ・・!」
 妹はよろこんでいたが、親父を捨てて家を出る事になるのかと思うと、それ
はそれで少し複雑な気分だった。でも、妹の幸せを優先するという理由がある
と思うと、エゴを優先して出て行った母親とは違うのだと信じられた。


妹を見ると、家を出られる再来年の事を夢見ているのか、ご機嫌な様子だっ
た。楽しそうにマーブルケーキをフォークで切り分けている。
「今年・・来年・・うちでクリスマスを過ごすのは、あと二回ですね」
そう言って、切り分けたマーブルケーキを俺の口に運ぶ妹。
「うん、そうだな・・」
「お兄ちゃんは、プレゼントは何が欲しいですか?」
「んー、お前は?」
「わたしは、うーん・・分からないです」
「俺も分からん。こんな感じで、のんびり出来ればいいや。お前と」
「じゃあ、再来年のクリスマスはどうしますか?」
「同じだよ。お前と一緒にのんびり」
「あ、でもパーティとか行かないんですか?」
「行かない。ああゆーのは飽きた」
「良かったあ・・。わたしもお兄ちゃんと過ごせればそれでいいです」
「じゃあ、約束な」
「はい。約束です」
 一階に親父がいたが、ちょこっとルールを曲げて軽くキスをした。
「ずっと一緒にいてくださいね・・」
「うん、約束するよ」
 そして、今度は長い長いキスをした。マーブルケーキの甘い香りが、早く
もクリスマスケーキを思い起こさせた。再来年のキスは、クリスマスケーキ
の香りがするのだろうか。シャンパンの香りがするのだろうか・・。そんな
事を考えながら、妹の甘い唇を味わった・・。


《ルール 完》

まあ、安心は出来ないです。
今よりもさらに生活態度を改めて、隙を見せないように・・です。
会話では「二十代前半から半ば」と書いた、親父の彼女ですが、
実際は29才だという事が判明。実の母親より、十も若いのか・・。
ま、あんまり興味ないんですけどね・・。

↓後日談
いま現在の主なルールは、
『親父が在宅の時は、あくまでも兄妹でいる』
『土曜のスケジュールは、二人で過ごす事を優先する』
『恥じる事はしていないと信じよう』みたいな事です。
恋愛を大切にしつつ、節度も守ろう!という感じです。


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