過激純愛

286 名前: ドキュソ兄@94 ◆DQN/H2Gc 投稿日: 02/10/02 17:19 ID:???

【夏の最後の二人旅編 〜妹のエロス/8.29日記】

 浴衣を着て部屋に戻る。
 ぬれ縁の木造りの小さな階段が、ぎぎっと軋んだ。後ろから、妹がとんとん
と階段を上る足音が続く。いつも家で聞いている“妹が階段を上る足音”が、
こんな所で聞けるのは、やはり不思議だ。東京の家から遠く離れた温泉宿に、
妹と二人で旅行に来ているという事を一瞬忘れてしまいそうだった。
「お湯加減、いかがでしたか?」
夕食のお膳を並べ終わった仲居さんが、にこやかに尋ねる。
「気持ち良かったですよ」と、俺が答える。
 妹は、テーブルの向こう側にちょこんと正座してうつむいていた。
「おビールでよろしかったのかしら。ジュースもございますので、よろしかっ
たらお申し付けください」
「うおー、料理うまそうですね」
「ごゆっくりお召し上がってくださいませ」
妹とは違ったしっかりした敬語に、旅先の宿でもてなされている実感が涌く。
 料理の簡単な説明をし終え、お膳を下げる時間を告げた仲居さんがゆるゆる
と部屋から下がる。民宿風情とは違い、どことなく癒しを感じさせる上品な対
応ぶりだった。少々高い部屋を予約しただけはある。
「んじゃ、食べよっか!」と妹に声を掛けると、
「ふぅ・・緊張しましたあ・・」と言い、ようやく顔を上げる妹。
「せっかく温泉に来たんだから、リラックスしろよー」
「だって、兄妹だってばれないかと思うと心臓がドキドキしちゃいます」
「犯罪じゃないんだし、兄妹で泊まりに来る客だってたくさんいるだろ」
「そ、そっかあ・・そうですよねぇ」と、妹。


海の物から山の物までと、テーブルを埋める数々の皿。
「よし、今日はお前も少し飲め」と、俺は妹のグラスにビールを注いだ。
「あ、はい。あ、すいません」と、妙にかしこまる妹。
妹の普段の生活の中で“ビール”と言えば、親父のために買う物であって、妹
が口にする物ではない。親父の嗜好品が自分のために注がれているという事が、
家で酒など飲まない妹にとっては、さぞ妙な場面に感じた事だろう。
「じゃあ、初めての二人旅に乾杯!」
「乾杯!」
 その時は気付かなかったけれど、思えば二人が酒で乾杯をするのもこれが初
めてだった。
「わたし、酔ってしまったらどうしよう・・」と、ひと口だけしか飲んでいな
いのに、もう酔った心配をする妹。
「友達と飲んだりしないのか?」と尋ねると、
「酔っぱらって帰れなくなったら困ります」と、妹。
「でも、たまに夜遊びとかしてたじゃん?」
「あ、○○ちゃん達と仲が良かった頃ですね」などと答えつつ、鍋物の具を俺
のためにせっせと取り分ける妹。
「ナンパでもされに行ってたんだろー」という意地悪な問いをしてみる俺。
「ち、違いますよぅ・・普通にカラオケとか行くだけです」
「へぇー」
「あ、でも。わたしは歌ったりしないからしらけちゃうんで・・」
“誘ってもらえない”と続くはずだったのか、妹はしんみり顔だった。
「んじゃ、俺が今度連れてってやるよ」
「えー!お兄ちゃんの前で歌うなんて、緊張しちゃいます!」
(嫌なんかいっ!)とは、つっこまなかった。


妹が鍋モノの具をいくつか取り皿に盛って、そっと俺の前に置く。いつもの
家での光景と同じだ。俺がそれを箸でつまんで食べる。
「おいしいですか?」と、妹。
「うん、うまいよ。お前も食えよ」と勧めると、
「いただきまーす」と、丁寧に手を合わせてから食べ始めた。
「うまいだろ?」
「あ、おいしいです!」と、うれしそうな顔をした。
 普段も家で一緒に食事をするが、妹は焦げて失敗した物をつまんでいたり、
前日の残り物を食べていたりする事が多い。しかし、たいていは洗い物などを
していて、親父や俺が食べ終わった後に一人で食べている事がほとんどだった。
この春からまた付き合うようになって、さすがに一人で食べさせる事はなくな
ったが、同じ物を一緒に食べる事は少なかった。
「これ、何だろう?」
「あ、それおいしかったですよ」
特にグルメな俺達ではなかったから、箸をつけるひと品ひと品が珍しい食材だ
った。そんな会話をしながら一緒に同じ物を食べる飯の何とうまい事か・・。
俺は、ちょっとした発見をしたように思った。
(あぁ、ちっちゃな幸せってこういう事なんだな・・)と、思った。
「あのさ・・」
「はい?」
「そっち・・隣にいってもいいか?」
「え、あ、じゃあわたしがそっちに行きます」
突然の申し出に、ちょっと慌てる妹。
「いや、俺がそっちにいくよ。並んで食べようよ」


最初は妹を隣に来させようと思ったが、この際は俺の方から妹の隣に行く事
に意義があると思った。急に妹の隣に行きたくなったのだ。深い理由はないけ
れど、ささやかな幸せをもう少しだけささやかにしたかった。
「わあ、お兄ちゃんが・・」
茶わんを持ったまま、目をくりくりさせて俺が移ってくるのを眺める妹。
「珍しいだろ?」
「はい。お兄ちゃんから隣に来てくれるなんて、珍しいです」
「意外と俺は甘えん坊なんだぞ」
「あ、じゃあいつでも甘えてください。うれしいです」
 空いていた妹の隣の座椅子に座ると、誰も座っていなかったから座ぶとんが
少しひんやりとしていた。
「この場所さ、お母さんが座ってた場所だな。たまに俺が座ってもいいよな」
「あ、いいと思います。わたしはうれしいです」
「そっか。じゃあ、家でもたまにこう座ろうな」
そう言って、刺身か何かで少し膨らんだ妹の頬をこちょこちょとくすぐった。
うれし恥ずかしといった感じに笑う妹が、とても可愛かった。
「お兄ちゃんて、さり気なく優しいから大好きになっちゃうんです」
「そっか?俺も、いつも俺に優しいお前が好きだよ」
そう言って、また妹の頬をこちょこちょとくすぐった。
「ふぅ・・もう・・いま、わたしお兄ちゃんにメロメロです」
そう言って、茶わんを持ったままクラクラとよろめくようにおどける妹。
「あはは。じゃあ、もうちょっと隣に寄ってあげる」
俺は座椅子を妹の方へもう少しだけ詰めた。妹も俺の方へもう少しだけ詰めた。
結局、二人の位置はぴったりとくっついた。そして、顔を見合わせて笑った。


お腹いっぱいに食べた割に、まだ料理は残っていた。
「タッパに詰めて帰りたいけど・・」と、冗談とも本気とも取れる妹の台詞に、
俺は笑った。こんな所まで来て、家庭的というか貧乏性というか・・。
「どうしよう・・わたし、やっぱり酔っちゃいました」
酔っているからなのか、知らない土地の宿に二人きりでいるという雰囲気がそ
うさせているのか、珍しく妹は饒舌だった。俺が話し掛けてもいないのに、何
かを常にしゃべっている。
「平気か?気分が悪いなら、少し横になるか?」
「大丈夫です。顔が熱いです・・ふふふ」と、顔を手で覆って笑う妹。
「おいで、落ち着くまで抱っこしててあげるよ」と、細い腕を引き寄せる。
「おにーちゃーん・・ふふふ。大好きです」と、素直に甘えてくる妹。
いつもならどこか控え目で遠慮がちに甘えてくるのに、いまはとても無邪気に
遠慮なく甘えてきてくれた。
(本当は、いつもこうやって甘えたいのかなー?)と思うと、つくづく妹は損
な性格をしているのだな、と思った。
「ちょっと夕涼みしようか」と言って俺は立ち上がり、妹を抱え上げた。
「あ、お姫さま抱っこです。わあ、うれしいなあ・・」
 俺はそのまま妹を膝の上に抱きかかえて座り、縁側の窓を開けて、露天風呂
へ降りる階段へ続くぬれ縁に腰掛けた。
 さっき二人で入った露天風呂に、ささやかに灯された庭の電灯がゆらゆらと
揺れている。空には、東京で見るよりもたくさんの星が瞬いていた。
「幸せだなあ・・うれしいなあ・・」と、俺の腕の中で妹がつぶやいた。
 さらさらの妹の髪を撫でながら、俺は妹の体温を感じていた。夏の終わりの
夜風がとても心地良い。風が運んでくるこの庭の緑の香りに混じり、上気した
妹の身体から薫るやわらかい香りがした。多分、一生この時を忘れないだろう
と、俺は思った。


腕の中で目を閉じたまま、妹は話し始めた。
「いつかお兄ちゃんと二人で住める所が出来たら・・・」
胸に唇をつけてしゃべるので、少しくすぐったかった。
「学校から帰ってきてー、お買い物に行ってー、さっきみたいに二人で一緒に
ご飯を食べたいです」
「うん、楽しそうだな・・」
「ご飯を食べたら、こうやって星とかを見ながら一日の事を話すんです」
「そっか、楽しそうだな・・」
「わたしは、デザインの学校でこんな事を習ったんです・・とか。でも、お兄
ちゃんはあんまり聞いてなくてー、でもそれでもわたしは楽しいんです」
「おいおい、俺は悪者かい・・」
「えへへ。でね、その頃はお兄ちゃんも何かやりたい事を見つけたりしてて、
でも・・わたしには絶対に教えてくれないんですー!」と、泣き真似をする妹。
「あはは、やっぱり悪者なんだ」
 露天風呂に注ぎ足される湯の音、溢れて流れてゆく湯の音、庭の木々の音、
どれもこれもが耳に優しい。それらの音が不思議と妹の夢物語と重なり合って、
妹の語る“平凡だが幸せに満ちた日々”の光景を思い浮かばせてくれた。
「お兄ちゃんの邪魔はしたくないんだけど、お兄ちゃんの夢も知りたくって、
でもしつこくは聞けないから、わたしは毎日それが何かを考えてるんです」
「うんうん、それで・・?」
「それでー、毎日お兄ちゃんの事を考えて暮らしてるから・・・ふふふ」
「ふふふって、何だよ。どうなるんだよ」
「それで幸せなんです」
「あはは、それがオチなんだ。何か、お前らしいよ」と言って、頭を撫でた。
「えへへ」と、うれしそうに頭を撫でられる妹。
(でも、幸せそうだな・・そういうの)と、思った。


お膳を下げに来た仲居さんに、色々と湯河原の話を聞いた。本当は、夜これ
から出掛けて楽しめる所を聞きたかっただけなのだが、湯河原を本当に愛して
いるせいか仲居さんの話はちょっと余計な話も多かった。
「へえー、そうなんですかー」
食事の前はしゃっちょこばっていた妹も、ほろ酔い加減が手伝って仲居さんの
話にちょっとのめり込む。一生懸命に聞いているところを見ると、どうやら妹
は郷土史のような事も興味を持っているようだ。意外な一面だった。
「じゃあ、その辺を少し散歩してきますね」と、適当に切り上げる俺。
「お気をつけていってらっしゃいませ」と、上品に見送る仲居さんに、
「いってまいります」と、つられて品良くなっている妹がおかしかった。
 宿を出てみると、意外と人通りが多かった。もっと閑散とした夜景を思い浮
かべていたが、俺らと同じように浴衣で散策を楽しむ宿泊客が行き交っていた。
夜の湯河原にからんからんとサンダルの音が響いて、旅情をそそられた。
「渋谷とか新宿の夜とは、ぜんぜん違うよなー。やっぱ」
「あ、いつか渋谷で夜中にばったり遇った事がありましたね、そういえば」
「んー、エイジア(クラブ)のイベントの時だったっけ?」
「えっと、お兄ちゃんは○○さん(当時の彼女)と一緒でした」
「お前は隅っこでウーロン茶飲んでたな」
「心細い所に救世主が現れたと思ったら、通り過ぎてっちゃいました・・」
「あはは。ごめん、ごめん。何か気まずかったんだよ」
「あ、わたしもです。えへへ」
 ちょっと高台になった下りカーブの大通りに出た。漆黒の闇に点々と点る町
の灯りが、どことなくノスタルジックな雰囲気だった。
「わあ、いい眺めですね!」
「うん、きれいだな」
 湯河原のロマンチックな夜景の中、数時間ぶりに唇を重ねた。行き交う人の
事も気にせず、止まった時間の中で唇を求め合った・・。



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