過激純愛

45 名前: ドキュソ兄@94 ◆DQN/H2Gc 投稿日: 02/09/16 04:51 ID:???

【夏の最後の二人旅編 〜母の旧姓/8.29日記】

 旅の目的地である湯河原は、神奈川県から少し静岡県へ入った所にある。
 横浜でのデートを楽しんだ俺と妹は、横浜駅のコインロッカーに預けていた
荷物を取り出し、いよいよ二人だけの旅へと旅立というとしていた。
 妹の小さな手を取り、横浜駅の東海道本線のホームを目指して歩く。いつも
見慣れた池袋や新宿などの駅とは違う。初めて見るホームの景色に、いよいよ
旅へ出るんだなという実感が涌く。
「結局何も調べないまま湯河原に行く事になっちゃったな」
「どんな所かなあ。お兄ちゃんと旅行に行くなんて、不思議な感じです」
俺もそう思った。
 旅行のどこが楽しいか、実は俺にはよく分からない。見た事もない景色、知
らない顔ばかりの土地、夜になればもう後戻りが出来ない遠い場所・・。
(ああ、そう言えば・・)
俺は修学旅行も、卒業旅行も行かなかった。
「旅行ってさ、ちょっと恐いよな」
「え、どうしてですか?わたしはすごく楽しみです」
「そのまま帰って来られなくなるかもしれなくて、不安にならない?」
「わあ、恐い事言わないでください!」
妹は、俺の言葉から不慮の事故を連想したようだ。
「いや、そういう事じゃなくてさ・・」


よく人は“自分を探す旅”などという目的でも旅をする。
 単なるレジャーと違って、旅の中に自己の成長を求めたり、見知らぬ自分を
発掘したりするアレだ。
「俺とお前はさ、今日すごく仲良くなっただろ?」
「はい」
「旅行先でもさ、もっと仲良くなるとするじゃん?」
「あ、何となく分かりました」
「まじ?」
「帰りたくなくなっちゃう・・みたいな事ですか?」
「うん、まあそんな事」
 旅先で新しい二人を見つけたら、世間に縛られる東京へ帰るのが嫌になるか
もしれない。いっそ、二人でもっと違う土地に行ってしまって・・逃避行とか、
駆け落ちとか・・そんな事を考えてしまいそうだ。
「そうなっても、わたしはお兄ちゃんについて行きます」
大人しそうにポツリと言ったが、妹の表情には何か絶対的な意志が感じられた。
「まあ、焦る事もないよな。いつか二人で暮らせる日は来るよな!」
せっかくの旅行をしんみりした雰囲気にするのは勿体無いので、気分を変える
ために努めて明るく言った。
「楽しみだなあ。二人で暮らせるといいですね」
「そうだな。今は夢みたいな感じだけど、頑張って叶えような」
「はい。わたし、何でも頑張っちゃいます!」
「んじゃ、まず今年は留年しないようにしないとな。あはは」
「あ、頑張ります!」
 もっと早く妹を好きになっていれば、ちゃんと学校へ行くように叱り、来春
には卒業出来るようになっていたかもしれない。そしたら、すぐに家を出られ
たかもしれない。そう思うと、ちょっと残念に感じた。


妹は昔から学校が嫌いだった。
 中学校までは俺と同じ学校に通っていたので、学校での妹の様子はだいたい
知っている。妹は小学校から中学校までを通して、友達らしい友達を持った事
がない。クラブや部活をやる事もなく、休み時間も席を立つ事なくそのまま座
っていた。とにかく、極端に大人しい子だった。
 妹の不登校は、小6と中3の頃が多かった。つまり、俺が先に卒業をして、
同じ学校にいなくなった時期と重なる。
「学校には、お兄ちゃんがいません・・」と、案の定そう答えた事があった。
 一緒に登校していたわけでもないし、学校で会って話をするわけでもない。
俺の存在は一種のお守りのようなもので、無きゃ無いで不安だったようだ。
「んな事知るか。卒業したんだから、仕方ないだろ」と、返した記憶がある。
それを聞くと妹は下を向いて黙ってしまった。そんな妹を邪魔に思う気持ちと
妹に酷い事を言ってしまった罪悪感が入り混じり、妹を見ていられなくなって
俺はそっぽを向いてしまった。俺が中1で、妹が小6の頃の話である。
 ところが、その妹が中1になってまた同じ学校に入ると、接し方が変った。
エッチな事をあまりしなくなったせいか、ちゃんと妹として見る目が出てきて
いたように思う。兄として、妹を守ろうという意識が芽生えてきた。
 夏休み近くのある日の事。
 教室で妹が男女幾人かに怒鳴られているのをたまたま校庭側から見かけた。
その内の一人が妹を小突いたので、妹の教室に行って後ろからそいつをイスで
殴り倒し、馬乗りになって何度も殴りつけた。もちろん後で学校と親からお咎
めを受けたが、血だらけになったそいつを目の当たりにした妹のクラスの奴ら
は、それ以来俺を恐がって妹をそっとしておくようになった。
 人と接するのが苦手な妹は、友達を作れと言われる事が苦痛だったようだ。

「友達を作らないから、いじめられる」と、妹の担任が言った。
でも妹をよく知る俺には、妹が友達を作るのは無理だと思った。
「そっとしておいてあげてほしい」と、その先生にお願いをした記憶がある。
 暴力的なやり方は反省しているが、妹を守りたかった。先生の言う事も正し
いとは思ったが、妹には俺がいるという自負のような気持ちがあった。


妹は、高校進学もあまり望んではいなかった。
「どうしても友達を作るのが苦手です・・」
「でも就職するにしたって、仕事場の人と仲良く出来なきゃ駄目だと思うよ?」
そう言うと、妹は黙ってしまった。
 そして、ずいぶんと黙りこくって時間が経った頃、ポツリとつぶやいた。
「お兄ちゃんと同じ高校に行きたいです・・」
「お前は頭がいいんだから、もっといい高校へ行けよ」と、遠回しに拒絶した。
どのみち俺の通うドキュソな高校へ来ても、妹は馴染めなかったはずだ。
「ちゃんといい高校に行けば、いい友達が出来るからさー」
「・・・・・・・・」
 結局、妹は俺の言いつけ通り、それなりの高校へ進学した。
 それなりの学校には、やはりそれなりのレベルの人間が集まるせいか、少し
ずつ妹も人に馴染めるようになった。ほんの一人か二人だった友達も、友達が
友達を呼んで段々と増えた。地味目な妹も少しずつ可愛くなっていき、普通に
人と話すようになっていった。無論、俺はそれをうれしく思った。
 妹との関係も、その頃一気に深まった。妹は本気だったらしく俺に尽くして
くれていたが、俺の方は気持ち半分、身体目的半分といった感じだった・・。
 今思えば、そこが二人の大きな分岐点だったように思う。
 俺の気持ちが自分の方へ向いていない事を悟った妹が、初めて自分の意志で
俺のレールから外れたコースへと進路を取った。俺達は、別れた・・。その時
は、少し悲しい気持ちもあったが、俺から離れていった妹を恨む事もなく、た
だ漠然とその現実を受け入れた俺だった。
 妹が他の男に誘われて、初めて人並みの恋をしている頃・・・俺も俺で妹の
知らない恋愛を重ねた。そしてちょうどその頃、俺も妹も自らのレールを脱線
していった。妹は初めて出来た親友のトラブルに巻き込まれて学校を欠席し出
し、俺は仲間とつるんで面白半分に悪事を重ねて手を汚していった。
 結果、妹は留年。そして、俺は・・・

ともかく。あの頃の俺は、またこうして二人のレールが交差するとは思って
もいなかった。遠回りをしたけれど、俺と妹はまた春からよりを戻した。以前
のおままごとのような恋愛観とは違い、心から大事にしたい女として見ている。
これが本当の初恋と言っても過言ではないほど、妹を本気で愛している。だから、
これからゆっくりと時間をかけ、二人で一緒に自分達のレールの終点を決めて
いこうと思っている。
「あ、お兄ちゃん、電車が来ましたよ」
「いよいよ出発だな。ちょっとドキドキしてきた・・」
「うわあ、わたしも緊張してきました。ドキドキですね・・」
二人とも手で左胸を押さえて、速まる心臓の鼓動を落ち着けようとしていた。
旅の楽しみもあるけど、それが原因の緊張ではない。言うなれば、親に嘘をつ
いて初めて無断外泊をする時の、あの“ドキドキ”に近い緊張だ。
「ひひひ。俺ら悪だな。親を騙して二人で旅行だぜ?」
「わあ、やめてくださいよぉ・・もっと緊張しちゃうじゃないですかあ!」
妹が素頓狂な声を出す。
 そして、電車が停車した。東海道本線。俺と妹を乗せて、湯河原まで連れて
いってくれる電車だ。そう思うと、ただの電車も何やら感慨深いものがある。
「んじゃ、行きますか」
「あ、はいっ」
 荷物を背負い、手をつないで整列乗車する人の後に続く。
「湯河原にも、プリクラあるかなあ・・」と妹。
「あったら記念に撮ろうな」
「うん、はい。撮ります、撮ります!」
「あはは、変な返事」
「だって、まだちょっと緊張してるんですもん」
「大丈夫だよ。俺も一緒なんだから。な?」
そう言って、ちょこっと汗ばんでる妹の手をギュッと握った。


電車は結構混んでいた。
 鈍くさい妹が席を取れるはずもなく、俺らは車両をいくつか渡り歩いて移動
した。しかし、どこも座席が空いていないので、諦めて立っている事にした。
「立ってて疲れるほどの距離でもないし、まあいいか」
「お話してれば、すぐですよ。きっと」
「だな」
「です」
 俺と一緒にいれば時間はすぐ過ぎる。そう思ってもらえているのが、ほんの
りとうれしい。妹は、ちょっとうつむいて照れくさそうな顔をしている。妹の
その表情が、ちょっとくすぐったい。
 電車がガタンと揺れた。
「あ、走り出しました・・」
妹がグラリと振らつく。
「おいで・・」
妹の首の後ろに手を回して、優しく抱き寄せてあげた。
「うわあ・・えへへ・・」
「なんだよ、えへへって」
「だって、ちょうどこうしたいなあ・・って思ってた時だったんです」
俺の胸に頬をつけて、うれしそうに笑う妹。
「お前がモジモジしてる時って、甘えたくてうずうずしてる時だろ!?」
「あ、わかっちゃいましたか?」
「なーんとなくね」
「“わあ、抱き着いちゃいたいなあ”とか考えてたりします」
「意外と甘えん坊さんなんだね、君は」
「あぅ・・はい」
そんな妹を甘やかすように、両手でギュッと抱きしめて左右にゆらゆらと妹を
揺らし、ふわふわと柔らかい髪にキスをした。
「うわあ・・しあわせ・・」と、妹がつぶやいた。
俺も同じ気持ちだった。胸がキュンとなった。


横浜でたくさん撮ったプリクラを見ていた。
 電車の壁に寄り掛かった俺に、妹がさらに寄り掛かるようにして立っていた。
「仲がいいのねえ」と、俺らを見て初老のおばあちゃんが微笑む。
恥ずかしくて照れてるのか相変わらず人が苦手なのか、妹はくるりとこちらを
向いて、おばあちゃんから顔を隠してしまった。
「あら、お邪魔しちゃったわね。ごめんなさいね」
人の良さそうなおばあちゃんはニコニコと笑って、停車した駅で降りていった。
「ごきげんよう」
聞こえたかどうか知らないが、俺はおばあちゃんに挨拶した。
 妹は、まだ俺の胸に顔をうずめたままでいる。
「もう行っちゃったよ、おばあちゃん」と言うと、妹はひょこっと顔を上げ、
「ふぅ・・」と息をついた。
「あはは、何だよ」とツッコミを入れると、
「うああ・・うぅ・・プリクラ、切ります」とごまかした。
 よそ様から冷やかされるようなアツアツの恋愛をした事がなかったのだろう。
さっきのおばあちゃんの言葉が、妹には恥ずかしかったのかもしれない。
「あ、湯河原のどこかにプリクラ貼って残してこようぜ!」
「あ、ナイス!じゃあ、この大きいのでいいですか?」
さっそく、チョキチョキと大きなサイズのプリクラを切り分ける妹。
「あ、ちょっと待った!」
「ん?」
妹が切っているプリクラとハサミを取り上げ、
「あ、やっぱさ・・この小さいやつを・・・」と、小さいサイズを切り取り、
周りに人がいないのを確認して電車の壁の目立たなそうな所に貼った。
「あ、お兄ちゃん・・悪ですね・・ふっふっふ」
「ふっふっふ。しかも、チュープリですぜ」
いたずらっぽく二人で笑った。そして、どちらからともなく軽くキスをした。
 電車は、二人の知らない景色の中を一直線に走り続けていた・・。

湯河原駅。
 まだ夕方の5時半より少し前。意外にも、横浜から一時間少々で着いた。
「万葉集にも名前が載ってるそうですよ、湯河原温泉」
「へえ、歴史がある所なんだねー」
 けっこう降りる人がいる。
 駅のホームに降りてすぐ、宿へ電話を入れた。送迎車が来るか確認した。
「ちょっと待ってれば、迎えに来てくれるってさ」
「遠いんですか?」
「分っからん。でも、いよいよだな!」
「わあ、またドキドキしてきちゃいましたぁ!」
「あはは、そればっかだな」
 周りをキョロキョロと見回す妹を見ながら、タバコを取り出して火をつけた。
「わあ・・ついに来ちゃいましたねー」
「来ちゃったね」
 どこを見てるのか、妹は上を見ながらトコトコと360度回る。
「あ、そうだ・・!」
妹はガサゴソと荷物を探り、水筒を出した。
「じゃーん、冷たい麦茶です」と、独り言を言いながらコップに麦茶を注ぐ。
(え・・遠足気分かいっ!)と、心の中で妹にツッコミを入れる俺。
「はい、麦茶です」と、コップを差し出す妹。
「さんきゅー」
一日中かばんの中に入れてた割りには、まだ冷たくてうまかった。
「うめー!」と、思わず言うと、
(持ってきてよかったあ!)と言わんばかりに、妹はうれしそうな顔をした。
そして、俺が飲み終わると自分も注いで飲む。
「ふぅ、冷たくておいしい」
 さっきまでドキドキしていたのに、いつの間にかほのぼのした気分になった。
どこか一調子ほど人と違うけど、可愛い妹だな・・と思った。


ひと休みしてから改札を出たけど、送迎車はまだ来ていなかった。
「車に乗ったら、後戻りできないぞぉ」と、妹を緊張させるような事を言った。
「あ、でももう平気です。お兄ちゃんと一緒ですもん」
女の方がくそ度胸があるというのは、案外本当らしい。
「宿の人の前では、どうする?彼女でいる?妹でいる?」
「うーん・・彼女でいたいです」
「じゃあ、宿帳には○○って苗字で書きな」
「あ、はい・・○○・・」
妹は噛み締めるように、その苗字をつぶやいた。
「そ、○○だよ。分かった?」
「あ、はい・・○○・・。あ、お母さんの旧姓です!」
「そうだよ。今日と明日、お前は妹だけど妹じゃなくなるんだよ」
「うん、はい・・」
妹は、耳まで赤くして照れていた。俺の腕に両手でつかまり、コツンとおでこ
を俺の肩にくっつけてきた。
「隠れてるの?」
「ん・・はい」と、何だか急にしおらしい。妹に少女らしい可憐さを感じた。
 母親の旧姓を名乗るという事・・それは、血のつながりがない一人の女を演
じるという事。母親の姓を借りて一夜だけ、普通の恋人同士を演じるという事。
それを強く意識したみたいだった。
「旅館に着いたらさ・・」
「ん・・」
「たくさんキスしような・・」
「ん・・はい」
俺の腕を握る妹の手の力が、キューッと少し強かった。


宿に着いた。送迎車の中で、妹は終始無言だった。
 両手で俺の腕をつかむようにして旅館の大玄関を入り、湯河原駅で俺に言わ
れた通りに、母親の姓で宿帳の記入を済ませた。書き慣れていないせいか、妹
は一画一画を丁寧に丁寧に書いていたのが印象的だった。
「お食事は、19時にお持ちいたします」
早々とふとんを敷いて、係の女性が部屋を去った。
 緊張しているのか、妹は黙ってうつむいている。部屋は静かな空気に包まれ、
まるで止まった時の中に置き去りにされた感じがした。俺も、心無しか緊張し
ていた。手が汗ばんでいたのを覚えてる。
「どうしたの?緊張してるの?」
「う、うん・・はい」
妹は、ちょっとはにかみ笑いをしながら答えた。
「こっち・・おいで」と、俺。
「あ、はい」
妹はもぞもぞと、ゆっくり俺の所へ来て、隣にちょこんと正座した。
「そんなにかしこまってちゃ、俺まで緊張しちゃうよ・・」と言うと、
「あ、ごめんなさい・・」と、それでもかしこまったまま答える妹。
「もっとこっちへおいで・・」と言って妹の腕をつかみ、後ろから抱くように
して膝の上に座らせた。
「とうとう来ちゃったね」と、俺。
「・・・何か・・不思議な感じがします・・」
「うん・・俺も同じ気持ち。でも、二人きりになれたよ」
「お兄ちゃんも・・緊張してるんですね。背中から心臓が・・」
すごく大きく脈打つ俺の心臓の鼓動が、妹に伝わっていた。
「うん・・緊張してる」
俺は、妹を抱く力を少し強めた。そして、妹の白いうなじにキスをした・・。



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